代表よりご挨拶

ゼノア代表 小澤貴子 :
1975年生まれ。上智大学理工学部化学科卒業後、応用化学修士課程に進学。終了後、大手化学会社の研究員を経て、上智大学理工学部化学科非常勤助手として研究に携わる。理学士、工学博士(応用化学専攻)。

来年には77歳、喜寿を迎えるゼノアの基本姿勢は、祖父が本来肌を健康に美しく導くべき化粧品の実態に疑問をもったことから生まれました。当時の女性はタール色素に代表されるように、きれいになろうと思って使う化粧品によって被害を受けることもまれではありませんでした。

祖父が界面活性剤と化学添加物の問題を化粧品公害と名付けて指摘したのは昭和30年代頭といいますから、すでに半世紀も前のことです。それは界面活性の作用によって化粧品に含まれる物質が皮内に侵入しやすくなることに気づいたからです。そのころはめざましい敗戦の復興の最中で、日本経済はようやく戦前の水準まで戻り、エネルギーは石炭から石油へと変わるときですので、日本人の生活もファッションも大きく変化した時代だと思います。洗剤メーカーによって発売されたシャンプーがヒット商品となり、洗髪の習慣も大きく変わったのもこの頃でした。そのような時代の中、当時の祖父の訴えはほとんど届きませんでした。それでも全国を歩き回り、ひとつひとつ説明して理解してもらえる人を少しずつ増やしていったと聞いています。父も同じように全国を回り、また書籍を通してより多くの方に伝えてきました。ちょうど自分の成長期のことを思い出すと、当時はテレビのCMが大きな力を持っていましたので、父もやはり相当苦労していたように思います。

界面活性という手法は洗顔料だけでなく、乳液、浸透させる化粧水やシミ用美容液など、今も化粧品の主流として完全に定着しています。本来の肌は水溶性の物質を通すことができないのです。だから水溶性のものを皮膚の内部に入れるためには界面活性という手法を使わなければなりません。それはしっとりして、つけるとシワものびて、ベタベタせずに使い心地がいいかもしれません。でも従来皮膚が持つバリアによって侵入できなかったものも、界面活性剤が存在すると侵入を拒みにくくなるでしょう。常在菌の存在の大切さも忘れてはいけません。皮膚の上に私たちと一緒に生活している菌(常在菌)も皮膚を健康に保つのに役立っています。その具体的な機能を調べようとする動きもゆっくりではありますが始まっています。確かに合成樹脂やシリコンなどを用いていれば、保存料を入れずに、しかもかぶれにくい商品ができますし、腐りませんから化粧品業の品質保証も行いやすいでしょう。しかし、それが彼らの住環境を脅かしてはいないか考えなくてはいけせん。私たちの肌がもっている自己防衛力が衰えていくこともです。

皮膚本来の生理に従おうとするゼノアの製品には即効性はありません。また、初めてお使いになる時には戸惑いも多いかと思います。ですから本当に「理解していただくこと」が求められます。それでもゼノアを使い続けてくださる方がいることに感謝しつくせない気持ちと、そのお一人お一人に大きく支えられていることを日々強く感じております。

「体の内」から「正しい食生活をつづけること」、「体の外」は「皮膚の生理に従うこと」、その両方で生涯を通して美しさを保つというのはもうすぐ創業80年を迎えるゼノアが守り続けている基本です。ゼノアが続けてきた思想ともいえる姿勢を大切に、いつも支えてくださっている皆様に、そしてこれからゼノアに出会ってくださる方に、もっともっとゼノアを愛していただけるよう歩み続けていく所存です。